しゅふきたアプリアイコン

主婦(夫)の働くをもっと応援

しゅふきたアプリ

しゅふきたは主婦の「働く」を応援する北海道の求人情報サイト

設定

○○ママの好きなこと・大切なこと 人格形成の場につながる「放課後」。|美馬 萌子さん

2025年5月27日 公開

学童保育所HOME 代表 美馬 萌子さん

今回のママライフに登場するのは、道内の大手銀行を退職後、札幌市の公募に採択されて民間の学童保育「HOME」を設立・運営する美馬萌子さん(@gakudo_home)。「小1の壁」に直面したことで、自ら学童保育所を立ち上げたエピソードを中心にインタビューしました。

Contents

1.仕事と子育ての両立に悩まされた銀行員時代。
2.自身の小1の壁をきっかけに。
3.忙しすぎて「どう生きていたか分からない」!?
4.子どもたちの主体性を大切に。

仕事と子育ての両立に悩まされた銀行員時代。

―前職は銀行員だったとか。
はい、2007年に新卒で入社し、2024年まで働いていました。就活は業界や職種で絞っていたわけではなく、有名企業を中心に幅広くエントリーするごくごく一般的なスタイルだったと思います。入社後にはさまざまな部門の仕事を経験し、とりわけ個人・法人向けの資産運用・形成を長く担当しました。

ーお子さんはおいくつですか?
今(2025年3月取材現在)、小学校2年生の8歳です。私が働いていた銀行は福利厚生やママへのバックアップが手厚く、産休・育休後は時短勤務を活用していました。ただ、終業時間が早くなるといっても1時間程度なので、私の場合は大幅な負担軽減とまではいかず、半年ほどでフルタイムに戻してもらったんです。

ー初めての子育てはやはり大変でしたか?
そうですね。仕事と子育ての両立がこれほど難しいのかと痛感(苦笑)。例えば、子どもは朝ご飯を食べるのが遅いほうで、私もギリギリまで待ってあげるものの、最終的には語気を強めて急かすことも一度や二度ではありませんでした。でも、声を荒げたことに自己嫌悪を感じるというような日々の繰り返しだったと思います。

ー銀行勤務だと、仕事を切り上げるのも難しそう。
ただ、当時は実家の近くに暮らしていたので、母に助けてもらえたのが大きかったです。保育園のお迎えコールがあっても、来客予定があったり、打ち合わせを中断できなかったりするケースも多かったのですが、その間に実家で預かってもらうなどのサポートには頭が上がりませんでした。

自身の小1の壁をきっかけに。

ー学童保育に興味を抱くようになったきっかけは?
やっぱり自分自身の小1の壁。ウチはオープンキャンパスで子どもが楽しそうに過ごしていたので小学校受験をしましたが、近くには児童会館やミニ児童会館がありません。子どもを民間の学童保育に預けたことで、送迎や英語、アートといった公立とは異なる取り組みに感銘を受けました。

ーでも、自分で立ち上げようと思ったのはスゴい行動力。
もちろん、必ず学童保育を立ち上げると息巻いていたわけではありません(笑)。民間の学童保育を運営するには規制も多いので、「いつか自分でも運営して、小学生のお子さんを持つ働くママを助けたい」と漠然と思っていた程度です。

ー思いを具体化しようと考えたのはなぜ?
実は、私たちの「HOME」がある東苗穂や雁来エリアは宅地造成が一気に進み、新しい住宅が次々と建っています。当然、若いファミリーが増えているので、この少子化の時代とは思えないほど子どもたちがたくさん。近隣の小学校2校はそれぞれ児童数が1000人を超えています。

ーイマドキ珍しいマンモス校なんですね。
驚きますよね。一方で近隣の公立児童会館は登録者数は300名を超え、とてもではありませんがキャパオーバーの状態です。その負荷を少しでも分散するために、札幌市で民間の学童保育運営者を募る公募を行っているのを見つけました。「やってみたい」と思っていたタイミングで飛び出してきた情報だったので、手を挙げるしかないと心が決まったんです。

忙しすぎて「どう生きていたか分からない」!?

▲(ご提供写真)

ー公募や運営の準備も大変なイメージがあります。
そうですね。夜な夜な事業計画書を作成したり、物件探しに走り回ったり、けれど、子どもと向き合う時間は変わらずに確保したり、今振り返ると忙しすぎてどう生きていたのか分からないくらい(笑)。

ー公募から採択まではどれくらいでしたか?
公募が発表されたのは2023年10月で、翌年1月に採択していただきました。銀行員としてお客様の前で話したり、交渉したりすることも多かったため、プレゼンなどには前職の力が大いに役立ったと思います。

ー児童は集まりましたか?
民間学童保育の概要が固まったのが2月末。正直、そこから1カ月程度で児童を集めるのは難しいため、最初は少人数でも仕方がないと割り切りました。それでも小学校や周辺の幼稚園・保育園に説明に伺い、何とかスモールスタート。2025年度は昨年度よりも児童数が増える予定です。

子どもたちの主体性を大切に。

ー「HOME」にはどのような特徴が?
まず、英語、書道、フラダンスの先生に施設内のスペースを貸し、学童保育内で習い事が完結できるようにしました。私のようにフルタイムで働いていると土日にしか習い事に行けない方も多く、家族の時間を削らざるを得ないと思います。学童保育でお子さんを預かっている時間内に習い事が終わっていれば、休日を目一杯活用できるはず。

ーそれは魅力的ですね!
他にも、小学校に進学すると宿題がつきものになります。でも、仕事から帰宅して子どもの背中を押し、お互い疲れている中で問題を解いてもらっては丸付けする…というのは結構シンドいもの。なので、学童保育で宿題を終わらせ、時間が余ればドリルも解いてもらうようにしています。私自身の経験からも、保護者の方はかなり助かると思います(笑)。もちろん、近所の公園で体を動かしたり、長期休みには動物園や工場見学に出かけたり、外での活動にも力を入れています。

▲(ご提供画像)

ー学童保育の方針は?
子どもたちの主体性を大切にすることです。最初に宿題を終わらせた後は、子どもたち自身で何をするか、誰がどのような役割を担うか考えるように導いています。自分の考えを言葉に出してアウトプットするのは、将来につながると思うので、例えばケンカをしても何が原因で、どこでズレが生じたかスッキリするまで話し合ったり。長期休みを含めると「放課後」の時間は長いからこそ、人格形成につながると考えています。


ーなるほど。ちなみにお子さんも通っていますか?
はい、2年生から通っています。もともと子どもとの時間を長く確保したかったので、今はずっと一緒にいられるのがとっても楽しく、家族としては理想の形になってきました。現在も月に一度、「HOME」で子ども食堂を開いていますが、今後も学童保育に限らず、誰かのサードプレイスを作ることで悩んでいる子に寄り添ったり、フルタイム勤務で苦労しているママの助けになったりしたいですね。

学童保育所HOME 代表 美馬 萌子さん