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○○ママの好きなこと・大切なこと 本場・英国仕込みのミュージカルで、家族がありのままでいられる時間を|小野あずみさん

2025年11月25日 公開 / 2025年11月28日 更新

ミュージカルチーム「EN TIMe」
リーダー 小野あずみさん

2人の子育てをしながら2025年にミュージカルチーム「EN TIMe(エンタイム)」を立ち上げ、誰もが気軽に楽しめる本格的なミュージカルを開催している小野あずみさん。演劇との出会いや約20年に及ぶイギリスでの生活、エンターテイメントへの思い、そして子育てとの両立についてお話を伺いました。

Contents

1.チーム誕生のきっかけはママ友3人の雑談!?
2.人生を変えた「キャッツ」との出合い
3.18歳で単身渡英、挑戦を続けた17年間
4.育児の不安を吹き飛ばした、夫のひと言

劇団誕生のきっかけはママ友3人の雑談!?

▲「EN TIMe」中心メンバーの奈々葉さん、小野あずみさん、木村愛里さん(ご提供写真)

ー「ENTIMe」の立ち上げについて教えてください
中心メンバーは子役から活躍している俳優の奈々葉ちゃん、タレントの木村愛里ちゃんと私の3人。実はみんな「劇団フルーツバスケット」の出身で、今はみんなママということもあって仲良しだったんです。で、ある日にご飯を食べながらイギリスの「パントマイム」というショーの話をしていたら、そのまま「みんなで作ろうよ!」と盛り上がって。2024年の1月のこと。それからはビックリするほどの勢いで動き出していきました。
ーパントマイムって、大道芸のですか?
…をイメージされる方が多いと思いますが、イギリスでは流行の歌やダンスが盛り込まれたミュージカルで、家族で楽しめる気軽なエンタメとして親しまれている存在なんです。一方の日本では演劇やミュージカルって、ちょっとハードルが高いものですよね。子連れだと「泣いたらどうしよう」「走り回っちゃったら…」と心配になるじゃないですか。だから、泣いてもオーケー、走ってもオーケー、かつ大人も時間を忘れて楽しめる。そんな舞台を作って、「ミュージカル」という最高のエンタメを日本でも広めたいと思ったんです。
ー今回が初公演だったんですね
初の初です。だから意気込んだはいいけど、衣装はどうする、舞台監督さんはどうする、照明も音響はどうする…と、全部ゼロからのスタート(笑)。しかも、みんなママなので両立も大変。後ろ髪を引かれながら準備に奔走する日々でした。
ー公演の反響はいかがでしたか
1日3公演で、用意したチケット各350枚が全て完売、お客さんは合計1000人を超えました!
ースゴイ!
札幌でチケットを完売させるのは難しいというお声もありましたが、本当に賛同してくれた皆さんが多くて。「赤ちゃんが泣いてもOK」で「大人も楽しめるショー」という目標も達成できましたし、「ミュージカルは苦手」という人や、「劇場に行ったことがない」人たちもすごく多かったことが嬉しいです。さらに皆さんの期待に応えるべく、来年の開催に向けて今から準備を進めているところです!

▲大成功に終わった「白雪姫」のステージ(提供写真)

人生を変えた「キャッツ」との出合い

▲(提供写真)

ー小野さんと演劇との出会いはいつですか?
きっかけになったのは小学校5年生の時に、劇団四季の「キャッツ」です。見た瞬間に衝撃を受けて、「自分もやってみたい!」「この道に進みたい!」と思って。電話帳を広げて劇団に電話をかけまくりました。
ー子どもながらすごい行動力!
でも当時、子どもが入れる劇団が札幌に一つもなくて…。東京ならあったんですけど、小学生の自分が一人で行くわけにもいかないし、どうしようかと悩み続けていたんです。でも中学2年生の時にようやく、子どもが入れる「劇団フルーツバスケット」が立ち上げられて、ようやくミュージカルを学べる機会がやってきました。
ー現在、小野さんが講師を務めてる劇団ですね
入団後はダンスにもお芝居にも挑戦して、次々と世界が広がっていくのが本当に楽しくて。高校2年生の時にはこの道で生きていこうと心に決めました。より大きな世界で挑戦をしたい…と思った時に、たまたまイギリス人の先生に相談してみたら「じゃあ本場のイギリスにおいでよ、まずは夏休みのサマースクールに行ってみたら?」とアドバイスを頂いて。
ーそこからイギリス行きを決意されたんですね
実際にサマースクールに行ったら、ロンドンに完全に恋に落ちて「私が夢を実現したいのはここだ!」とすぐさま渡英を決意しました。

▲小野さんがイギリスで出演した「王様と私」のステージ(提供写真)

18歳で単身渡英、挑戦を続けた17年間

▲渡英時代の小野さん(中央右下。提供写真)

ーイギリスではどんなご経験をされたんですか
「英語は何とかなるだろう」って楽観的な気持ちで行ったんですけど、実際に行ってみると言葉が全然通じなくて全てのプライドがへし折られました(笑)。バカにされたり、見下されたりしたこともありましたし…でも「みんなに応援されて送り出されたのに、ここで帰るわけにはいかない」って気を持ち続けて踏ん張りました。おかげで強くなれたと思います。
ー根性ですね…。演劇のほうは?
在学中に「王様と私」というミュージカルのオーディションがあって、先生たちが「アジア人を探しているからアズミは絶対やった方がいい」と背中を押してくれたんですね。ありがたいことに合格して、それからの2年間はロンドンの本場ウエスト・エンドで、続く2年はイギリス中をツアーで回りました。4年間で1,500公演ぐらいやったと思います。
ー1500回!?
イギリスのショーって長いものでは15年や20年続くんですけど、人気が無かったらすぐに公演がなくなるシビアな世界なんです。キャストも1年契約で、継続にならなければまたイチからオーディションを受けなきゃいけません。
だから私も何年間かのショーが終われば、劇場でモギリや売店のバイトをしながらレッスンとオーディションを繰り返す日々でした。ただ一緒に汗を流した仲間たちがその後大きな舞台でデビューしたり、映画に出たりと活躍してるのはすっごく誇りに思ってます。
ーご主人も演劇の関係の方ですか?
そうです!イギリスのミュージカルはバンドの生演奏をするんですけど、夫は劇団のドラマーだったんです。30歳での結婚を機に私も夫の出身であるスコットランドのグラスゴーという街に渡って、それから9年間はダンス講師をしていました。
ー日本に戻られたきっかけは何だったんですか?
2015年に母が病気になったのを機に帰国して、札幌で看病することになって。その時に夫も「日本に住んでみたい」と言ってくれたので、17年にわたるイギリスでの生活を終えることに。「マックアートハウス」という自分たちのスタジオを立ち上げて、私はダンスと英語、夫はドラムを教えることにしました。

▲「白雪姫」稽古の様子(提供写真)

育児の不安を吹き飛ばした、夫のひと言

ーご出産は帰国されてからだったんですね
長男が生まれたのが帰国後の2018年です。自営業なので、産後20日少しで復帰したんですけど、ありがたい事に生徒のお母さんたちがみんなで子どもを見てくれて。おむつを変えてくれたり、毎日ご飯を持ってきてくれたり、「私たちがいるから大丈夫」って言ってくれたり…。心強い皆さんのおかげで、すっごく子育てしやすかったですね。いつも賑やかだったので、気持ちが落ち込む暇もありませんでした(笑)
ーご自身の子育て観も変わりましたか
お母さんたちの本当の気持ちは、自分が育児をして初めて知りました。私が教える生徒の中には発達に障がいを抱えている子とか、学校には行けないけど教室には来たがる…なんて子がいて、そんな子やママたちに「ありのままで大丈夫だよ」って伝えてきていたんです。でもいざ自分の子が落ち着きなかったりとか、言葉を覚えるのが周りの子よりも遅いとか感じる度に、心配になってもうどうしようかと(笑)。
ーわかります(笑)
私は欧米での生活が長かったこともあって、心では「人の目なんて気にしない」と思ったんですけど、実際は気にしてばかりで「あ、やっぱり日本人だな」なんて(笑)。でもそんな悩みを抱えていた時に、夫がふと「落ち着きがなくてもいいじゃないか、楽しそうで生き生きしていて僕は好きだよ」なんて言ってくれたんです。その言葉にふっと救われました。
ーとってもいい言葉!
そんな気づきは、舞台づくりにもつながっていると思います。完璧じゃなくていい。泣いたって、笑ったって、みんなで楽しめる時間こそがエンターテインメントの原点。そんな思いで開催できた第一回のショーだったと思います。これからも「EN TIMe」を通じて、子どもも大人も“ありのままの自分で笑顔になれる場所”を増やしていきたいですね。
ーありがとうございました!

▲ドラム講師であるご主人と小野さん。

ミュージカルチーム「EN TIMe」
リーダー 小野あずみさん

Instagram:@entime_official