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○○ママの好きなこと・大切なこと 子育ての悩みも忘れるほど楽しい、「くまお」を彫る時間。|荒川亜季さん

2026年2月27日 公開

工房くまお
荒川 亜季さん

高校生の兄弟を育てながら、愛らしい木彫りの熊「くまお」を製作する荒川亜季さん。重度心身障害児施設の指導員として12年働いた後、子育てに専念。その後、パートをしながら、木彫家のお父さんの影響で木彫りを始めると、その楽しさに取り憑かれました。子育ての葛藤を経験しながらも、「楽しいから彫る」という姿勢を貫く荒川さんに、「くまお」誕生の経緯や子育てへの想いを伺いました。

Contents

1. 子どもが寝られなくなって子育て中心にシフト
2. 急に作りたくなってしまった「くまお」
3. ただただ楽しいから彫る時間。
4. 10年越しにやっと大人になれた!?

子どもが寝られなくなって子育て中心にシフト

―もともとは福祉業界の正職員だったとか。
学校で保育士の資格は取りましたが、重度心身障害児施設の指導員として12〜13年働いていました。母の仕事の関係で小さいころから障がいのある方と触れ合う機会があったことと、正直、子どもの保育のほうが大変そうに感じたので(笑)。障がい児支援の方が私には向いてるなと思い、就職しました。働きながら介護福祉士の資格も取得しました。

ー障がい児施設で働いている時に結婚・出産を?
はい、夫(現在は別の企業に勤務)とも同じ職場で働いていました。産休・育休を取得した後は、子どもを保育園に朝7時から夜7時まで預けてました。当時、私はちょっと遠い施設に配属されていたので、フルで預かってもらっていましたね。

ー子育ての転機となった出来事は?
仕事には夜勤もあったのですが、子どもが夜に寝られなくなっちゃったんです。夜驚症っていうんですけど。病院にも通っていましたが、母親がいないことで寝られないっていうのは明確だったんです。

▲提供写真。ご家族でサッカー観戦をするのも楽しみの一つ。

ーママじゃないとダメだった。
そうなんです。夫が迎えに行っても、私じゃないと帰らないとか、そういうわがままを言った時もあったみたいで。子どもにとって夜いないっていうのが相当なストレスだったんだと思います。

ー職場の理解は?
当時は、今ほど働き方に敏感な時代でもなかったので、「休まれたら困る」という雰囲気は強かったように思います。夜驚症だけではなく、保育園からのお迎えコールがくる時も渋々でしたから…。こうした環境だったこともあり、二人が小学生になるタイミングで、子育て中心にシフトしようと、専業主婦になりました。子どもたちが学校から帰ってきて「おかえり」「ただいま」ができるようにしたいっていう、その一心ですね。

急に作りたくなってしまった「くまお」

ー仕事を辞めてからはどう過ごされたんですか?
2年くらいは仕事に復帰することもなく、家事をしたり、遊びに行ったりしていました。退職金で子どもたちとディズニーランドや道内への旅行に行ってみたり。やっぱり、学校から家に帰ってきて、私が「おかえり」って言えたのが良かったのかなって。

ー夜驚症は?
普通に治りました。多分原因は、やっぱり私の夜勤。あれだけ寝なかった子が、スーッと寝るようになったので。

ーその後、またお仕事を?
子どもたちが落ち着いてきて時間もできたので、介護施設で短時間のパートを始めました。10時くらいから15時くらいまで、子どもたちが学校に行ってる間だけですね。

ーいつ頃から木彫りを?
実は、父は50年以上の経験を持つ木彫家。学生の時には木彫り教室のアルバイトをしていたこともあって、木彫が身近な環境だったんです。私自身、もともとものづくりが好きで、西野神社で女性だけの作家を集めたイベントに、アクセサリーをちょこちょこ出すようになったりしていました。そんな時、「ちょっと木彫りでもやってみようかな」って軽い気持ちで始めたら、ものすごく楽しくて。

▲写真右が代表作の「DJくまお」。荒川さんが地元のラジオに出演した際、大きなヘッドホンを付けたことにヒントを得て、その日のうちに彫ったのだとか。

ーなぜクマなんですか?
息子たちが小さいころ、クマのぬいぐるみをいつもどこに行くにも連れて行くくらい「クマLOVE」で、家にものすごい数のぬいぐるみがあるんです。私もそういう可愛いものが好きなので、クマを彫りたいなって思って。

ー「くまお」の由来は?
かなり単純(笑)。夫も、二人の息子も、名前が「◯◯お」で「お」が付くんですよね。で、これを作り始めたころ、友達が「旦那さんも、子どもたちも、『お』が付くんだから、これは『くまお』だね」って言って名前をつけてくれたんです。

ただただ楽しいから彫る時間。

ーこれまでどれくらい製作されたんですか?
正確に数えているワケではないですが、1000個くらいは作りました。取り憑かれたように彫ってたんですよね、もう楽しくて楽しくて。最初のうちはそんなにイベントなどにも出ていなかったので、とにかくクマがいっぱいストックされている状態でした。

ー彫っている時はどんな感覚ですか?
とにかく何も考えない無心の状態というか。手は動いているけれど、頭は使わないという感じです。黙って座っていると、高校生になったとはいえ子どもたちのことに悩んだり、将来の不安を考えちゃったりするものですが、彫っている時は何も考えない…その感覚がすごく楽しいんです。

ーじゃあ、売ってやろう!という気持ちでもない?
私、飽き性なんですよ。アクセサリーとかもワーッと燃えてすぐやめちゃったり。でも、「くまお」は楽しいから、彫りたいから彫っています。その中で、「くまお」を可愛がってもらえ、連れて帰ってくれ、楽しみにしてくれる方が増え・・・それがうれしくて続けられています。

▲提供写真。大阪のイベントに出展した際の様子。

ーどこで売っているんです?
札幌では桑園の「遊木民」、定山渓の「MOUNTAINSTORM」に置いてもらっています。あとはイベント出展がメインです。一昨年から江別蔦屋書店で「くまおフェア」を2年連続でやらせてもらって、1ヶ月間大きな展開をしてもらえました。最近では大阪のイベントにも出展していて、北海道だけじゃなく多くの方に手に取っていただけるのもうれしいですね。

10年越しにやっと大人になれた!?

ーお子さんたちとの関係は今どうですか?
実際…高校生になった今の方が難しくて。子どもたちの感情の起伏がないようにするために、環境を整えるというか。子どもたちが安定してくれないと、私も安定できないので。

ー具体的には?
例えば、最近は雪の影響もあり、朝もバスが出るのか出ないのか分からないので、私が駅まで送るんです。でも、「早くしなさい」とつっつくと、「今やってるよ!」など言い合いになることもあると思います。だから、「何時に家を出発するから、2人ともそれまでに準備してね」って。そうすると向こうも送ってもらったほうがラクだから、時間までには準備をします。

ーアプローチを変えたんですね。
私は、子どもの言うことを否定しがちだったんですけど、最近は一回飲み込むように意識しています。で、時間を置いてみると、「あれ?子どもの言っていることのほうが合ってるわ」みたいに思うこともあったり(笑)。

ーそれを学んだきっかけってありますか?
子どもの夜泣きの時に通っていた児童精神科の先生とのつながりを、今もずっと続けているんです。1年に1回くらい、夫と一緒にお話しに行くんですけど、その先生が「大変だろうけど子どもの話は全部聞きなさい」って。そういうヒントがすごくあります。

▲新作「スキーヤーくまお」

ー実践するのは大変じゃないですか?
帰りの車の中では「子どもの話を全部聞こう」と話すんですけど、実際はそううまくいかないんですよね。でも、積み重なって今があるから、やっと「一回話を聞く」ができるようになりました。やっと私たちが大人になったというか(笑)。

ーお子さんたちは木彫りに興味を?
「くまお」のポストカードやカレンダーも販売してるんですけど、それは息子に描いてもらってるんです。長男は高校のデザイン系コースに通っていて、次男も絵がすごく上手で。最近、次男に「最近、気をつけポーズの『くまお』ばっかり作ってるけど、デフォルトの座っている形も作んなきゃダメだ」って指導が入りました(笑)。

ー今後の目標は?
「くまお」を、北海道以外の人にももっと見てもらいたい。原宿でイベントの声もかけてもらったので、いろんな人に見てもらえたらいいなって思っています。


ー先輩ママとして、メッセージを!
子どもが小さいころは一瞬だから、全力で可愛がりなさいとよく言われますが、悪いことをすれば怒るし、ママもイライラすることもありますよね。親も人間だし、どっちも一生懸命なんだからと割り切るのも必要。SNSを見るといろんな子育て論がポストされているけれど、子どもは本当にいろんな性格があって、全員が同じじゃないから、引っ張られすぎないことも大切だなって思います。

工房くまお
荒川 亜季さん