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○○ママの好きなこと・大切なこと ママでも社員でもない、自分に戻れる時間。|高畑 海さん

2026年2月27日 公開

こどものためのオーケストラ
代表 高畑 海(まりん)さん

「歩いても、踊っても、泣いても大丈夫」をテーマに、生のオーケストラを親子で体験することができる「あかちゃん・こどものためのオーケストラコンサート」。高畑海さんは、その企画や運営を手がけている「こどものためのオーケストラ」の代表です。ご自身もクラリネット奏者として音楽を届ける一方で、普段は三児のママ。高畑さんに子育ての葛藤や本音を振り返ってもらいながら、なぜ子どもたちにオーケストラを聞いてもらおうと思ったのかインタビューしました。

Contents

1. 生活が一変したタイミングでオーケストラに挑戦
2. 諦めることを覚えた、子育てのまっただ中
3. 入場無料だけど、全然えらくない!?
4. 大変なことはあっても、イヤなことはまったくなし

生活が一変したタイミングでオーケストラに挑戦

―クラリネットはいつごろから始めたんですか?
中学生のころに吹奏楽部に入部したときからです。え?なんで入部したのか?う〜ん…私は運動も得意じゃないしという消去法的な理由だったと思います(笑)。高校に進んでからも吹奏楽部に入り、クラリネットを続けました。実は、高校時代の部活を指導してくれた顧問の米田先生が、「こどものためのオーケストラ」でもタクトを振ってくれているんです。

ー長いお付き合いなんですね!高校卒業後もクラリネットを?
はい、社会人バンドで演奏したり、米田先生のレッスンを受けてソロやアンサンブルを勉強したり、細々と音楽活動を続けていました。

ーお仕事は?
障がい者支援にかかわる福祉関係の仕事でした。結婚後は夫の仕事の都合から埼玉県に引っ越すことになり、友人も知り合いもゼロの土地で新しい生活が始まりました。
ーなかなか大変そう。
孤独ではあったんですが、生活が一変したタイミングだからこそ、ずっとあこがれを抱いていたオーケストラに挑戦してみようと思ったんです。それまでは吹奏楽しか経験したことがなかったので。埼玉県で大人向けの演奏会に2回ほど参加し、奏者として日常では味わえない高揚感を得られたのが良い経験になりました。

ー高揚感…ドーパミンのような、脳内麻薬のような?
あ、でも、まさにそんな感じに近いです(笑)。で、長女が生まれるタイミングで、夫とともに札幌に戻りました。

諦めることを覚えた、子育てのまっただ中

ーお子さんが生まれてから音楽は?
長女が生まれたときは、無理やりにでも続けようと頑張りすぎちゃっていました。子育ての中で何が大変だったかというと、「諦められないこと」だったと思います。

ー諦められないこと…?
はい、子育てしていても、楽器や自分のやりたいことを諦められなくて。でも、何かをやろうとするたびに、子どもを預かってもらえるようにお願いしたり、日程を調整したり、あちこちに連絡を入れる必要がありますよね。で、気づけば「何かを達成して得られる充実感」よりも、大変さの方が勝ってしまうようになりました。だけど、「私の努力が足りないからダメなんだ」と自分自身を責めちゃって。
ー多くのママに当てはまりそう。どう乗り越えたの?
乗り越えたというか…2人目、3人目と子どもが生まれたことで、「もう無理なものは無理。人生にはそういう時期もある」というスタンスを受け入れるようになりました。

ー意識的にそうしてた?
そうですね。以前は、自分が発信して動くのが正しいと思っていました。でも、無理なときは、「受け取る側」に回るのが良いってやっと分かったんです。だから、自分で頑張るのではなく、サービスを受け取るほうになろうと、よもぎ蒸しに出かけたり、人に手伝ってもらうことを躊躇しないようにしたり、エネルギーを蓄える時期なんだって割り切ると、少しラクになれた気がします。

ーチャージ期間だった、と。
はい、少しずつエネルギーが溜まってきた段階で、「もう一度オーケストラができるかも」と考えられるようになりましたね。

入場無料だけど、全然えらくない!?

ー「こどものためのオーケストラ」を立ち上げたきっかけは?
あの…恥ずかしいんですけど、出発点はエゴなんです(苦笑)。私自身がクラリネットを吹きたい、オーケストラを自分の子どもたちに聞かせたいという一心で、去年(2024年)に立ち上げました。

ーでも、親ってそういうものかも。確か入場無料なんですよね?スゴい!
知人からも「入場無料なんてえらいね」とよく言われるのですが、スタート地点が私のエゴなので、胸の内は「全然えらくもなんでもない」です(笑)。ただ、子育てに追われているママや時間がなくていっぱいいっぱいの家庭を音楽で満たしたいという思いから入場無料にはこだわっています。オーケストラに対するハードルも下がりますし、気軽にお子さんを連れてきやすいですからね。
ーメンバーはどう集めたの?
札幌には音楽関係の知り合いが少なかったので、Facebookで片っ端から「私はこういう者で、子どもたちのためのオーケストラを届けたい」とアプローチしました。固定の団体ではなくて、毎回賛同者を募るスタイルです。ただ…。

ーただ?
入場無料なので、昨年は演奏者の方々から参加費をいただくかたちで運営しました。私の思いに賛同してくれているとはいえ、あまりにも申し訳ないので今年からは企業や団体、個人の方に協賛してもらえるように力を注いでいるところです。

大変なことはあっても、イヤなことはまったくなし

ー今、出発点とはまた違った手応えがありますか?
昨年、コンサートを1回開いたことで、思いのほか重要な活動なのかもしれないと思うようになりました。最近は子どもたちに「実体験」の場が少ないですよね。でも、YouTubeでオーケストラを聴くのと、生で聴くのはやっぱり感動の質も違うはず。しかも、私たちのコンサートはステージのない平場。演奏者とお客さんが同じ目線にいるのも距離感の近さを感じてもらえると思います。

ーママの視点としてはどんな変化が?
メンバーみんなのおかげで、子育てに追われているママが1時間だけでも救われた気分になったり、子どもがはしゃいでいるけれど(もちろん、騒いでもOKです!)オーケストラに連れてこれてよかったと思えたり、親もうれしくなれる瞬間が作れるというのは想定していた以上に素敵なこと。音楽の力で誰かを応援できるかもしれないと思うと、一人でも多くの方に届けたいという気持ちに変わってきました。
ー活動の中で大変なことは?
今は夫の仕事を手伝っていて、夕方には子どもたちを迎えに行き、帰宅後はご飯の準備。クラリネットは夜に練習すると迷惑なので、自分のご飯は後回しにして、子どもに食べさせながら吹くこともあります。ちょっと異常な光景ですよね(笑)。でも、みんなで演奏するときの高揚感が得られるなら、多少大変なことや事務作業があっても、全然平気。

ーなるほど、イヤなことがないという感じ?
はい。例えば、仕事ではイヤでもやらなければならないことってありますよね。でも、私にとってのオーケストラにはそれがないんです。「ママでも社員でもない、自分に戻れる時間」として、この活動に救われている部分も大きい気がします。

ーご家族は応援してくれている?
土日に練習で家を空けるときは、夫に子どもたちをお願いしています。ただ、本当は家で子どもと過ごしたほうがいいのかな、と迷うこともあるんです。私の活動は趣味の延長のようなもの。本当にこれでいいのかな、と疑心暗鬼になることもあります。でも、やれる人がやれるときにやらなきゃいけないこともある…と、家族に少し申し訳ない気持ちはありつつも、今できることをやっています。演奏で自分が充電されて、それを家族に還元しているから必要なことなんだって。

ー最後に今後の目標は?
昨年は午前の公演だけだったのを、今年は午後の部も増やしました。今はとっても小さな活動ですが、挑戦する価値はあると思っています。なので、少しずつ活動の幅を広げて、いつかは広い野外ステージでピクニックコンサートができるようになれたらいいなぁ。

こどものためのオーケストラ
代表 高畑 海(まりん)さん