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○○ママの好きなこと・大切なこと ママにこそ栄養を!食育で親子の笑顔をはぐくむ料理研究家・栄養士|熊谷しのぶさん

2025年8月19日 公開

Pop Spoon代表、
料理研究家・栄養士 熊谷しのぶさん

札幌で親子で参加できる料理教室や離乳食の作り方講座、料理本出版やレシピ開発などに取り組む「Pop Spoon」代表の熊谷しのぶさん。ウェディングプランナーという異色の経歴から転身し、料理を通じて「お母さんが笑顔でいることの大切さ」を伝える活動に取り組んでいます。現在、小学5年生と3年生の息子さんを育てながら、子育て世代に寄り添い続ける熊谷さんに、これまでの歩みや子育てとの向き合い方についてお話を伺いました。

Contents

1.「食」への関心が高まったウエディングプランナー時代
2.子連れカフェで再認識した、ママの健康の大切さ
3.出産で自らもダメージや栄養不足による体調の変化を経験
4.SNS時代だからこそ、リアルな体験を届けたい

「食」への関心が高まったウエディングプランナー時代

ーまずは現在の活動について教えてください
円山にある料理教室を中心に活動しています。妊娠中の方から離乳食、キッズ食、そして栄養のことを知りたいという食に興味のある方まで、どなたでもご参加可能ですが、メインは子育て世代の応援。保育士さんが託児をしてくれる中で、お母さんたちで温かいお食事を召し上がっていただくという企画を5年ほど毎月続けています。
ーお料理のお仕事を始められたのはきっかけは何でしたか?
ちょっと紆余曲折あって、社会人になりたての頃にテレビ業界で2年勤めてて、リサーチャーとして企画のネタ集めをしたり取材先を探したりする中で、どんどん「食」に興味が深くなっていったんです。ただ実際に仕事にするとかはその当時は考えていなくて、その後ウエディングプランナーに転職した後での出来事が、今につながる原点だと思います。
ーどんなご経験を?
5年間、約1000組以上の結婚式を担当していたんですけど、新郎新婦さん一組一組にじっくりとヒアリングする中で、食生活の話にまでなることもあったんです。すると明らかに体調の優れなさそうな新婦さんが時々いらっしゃって、聞けば「今日何も食べてないんです」とか、「レトルト」「カップラーメン」とか…。特に、バリバリ働かれている新婦さんや妊婦さんでもそんな生活を送っている方がいらして、挙式が近づくにつれて急に痩せていったり、中には体調不良で延期になってしまった方も目にしてきました。
ーそんなことが…
私もその当時忙しくて、アンパンに牛乳みたいな、まるでドラマの中の張り込み中の刑事さんみたいな食生活だったんです(笑)。色んな方を見ているうちに、やっぱり「食」の大切さを実感して、栄養士の資格を取ろうと決心。仕事を辞めて地元・旭川の大学に社会人入学して栄養士の資格を取得、素晴らしい恩師との出会いもありました。
その後札幌に戻り、食育に取り組む会社で営業を経験した後、方向性が見えてきて独立したのが2011年。ですので、栄養士としての現場経験は少ないのですが、目標が見えたのでこの道へと進みました。

子連れカフェで再認識した、ママの健康の大切さ

▲これまで2冊のレシピ本も出版しています

ーはじめはどんな事業をされたんですか?
SNSで呼びかけたり、チラシ配りをしたりと地道に集客して、小さな料理教室を開いていました。転機になったのは2年ほど経ったある時。お世話になっている方から「あるモデルハウスで料理教室をやってほしい」とご依頼頂いたんです。実際にそのモデルハウスに行ったら、ヨーロッパ風の内装やキッチンに差し込む光の美しさに魅了されてしまって。「この空間でたくさんの方にお料理を召し上がってもらいたい」という思いを担当の方にプレゼンを何度かしまして、イベントではなく常設という形で営業させていただける事になったんです。あの出来事が大きかったですね。
ーやってみていかがでしたか?
2013年当時は子連れカフェがあまりなく、子どもを抱えてお店に行くと断られることも少なくない時代でした。だからでしょうか、2階の個室は完全予約制だったんですけど、連日行列ができてしまうほどの盛況ぶりで。オペレーションが整うまでは毎日が嬉しいパニックでした(笑)
そんな中で考えていたのが、お母さんが笑顔じゃないと、子どもも元気がないということ。ママ会でリーダー的な役割だったお母さんが、一人で来られた時には暗い顔でとても疲れたご様子で。それで「普段はどんなお食事されてます?」って聞いてみると「卵かけごはん1杯だけです」や「家族の残りものを少しです」と…。
ーどこかで聞いたお話が…
式場で働いてた時の経験と全く同じですよね。それでお母さんの栄養を、ちゃんと整えようっていう思いが強くなって…、託児付きの講座で離乳食を教えつつも、お母さんにもしっかりと栄養チャージができる温かいお食事を召し上がっていただく。そんな機会をこの5年、毎月開催しています。これまで2000人以上の方に召し上がっていただきました。
ー素晴らしいですね
お母さんって妊娠中は周囲からも大事にされて、自分のことも大切にする。なのに出産をすると子ども優先で自分のことを後回しにしてしまいますし、家族も「お母さんだから、しっかりして」みたいになっちゃうんですよね。子どものことが心配で、可愛くて仕方がないから無理もしてしまう。とても共感ですが、それではいけない、流れを変えたいと思ったんです。

出産で自らもダメージや栄養不足による体調の変化を経験

▲ご自身にとって「最も栄養不足だった」頃の熊谷さん(ご提供画像)

ーご自身も出産を経験されてますね
カフェオープンの時と同じタイミングで結婚して、翌年に長男を出産しました。今は上の子が小学5年生、下の子が3年、どちらも男の子です。
ーはじめての子育てはいかがでしたか?
産後は家族に少し当たっちゃっていました。特に二人目の直後がひどくて、今でも夫と長男から「あのとき、ママ怖かったよね」みたいなことを言われます。そう言われると、まだまだ家族は出産のこと、お母さんの身体のことはわかってくれていないなと感じ、しっかり話をします。産後の栄養不足が原因で鬱っぽくなったり、イライラしたりする事実は、話をしなければなかなか理解してもらえないんですよね。私も体調が悪くクラクラしてしまった時期があって。栄養士として恥ずかしいことに、病院に行くと極端に鉄分が不足していると言われました。
ー子どもを出産しただけでも、交通事故並みのダメージと言われてますもんね…
全治8ヶ月のダメージがあると言われています。自分の栄養も赤ちゃんにプレゼントしていますから、ひどい栄養不足の状態で産後も赤ちゃんのことを一生懸命に見ているわけです。そんな状況で「2人目を考えよう」というのはかなり大変な話だと思います。まずは栄養と休養を!

▲札幌・円山にあるアトリエ(ご提供画像)

SNS時代だからこそ、リアルな体験を届けたい

▲お子さん2人と熊谷さん(ご提供画像)

ーご自身の子育てで気をつけていることはありますか?
どんなに忙しい時でも「ちょっと待って!」みたいな言葉は言わないようにしてます。言った時の「あ…。うん」という息子のなんとも言えない表情が忘れられなくて。保育園の先生から教えてもらったんですけど「『え?なんかいい話あるの?楽しみー!』とか、『その話きちんと聞きたいから、少し待ってて』って伝えるといいですよ」って。やってみると、同じ「待ってて」でもそのテンションで伝えると違う温度になると思いました。
ー子育て中のママたちに一言アドバイスをお願いします
何でも「今やらなきゃ」って固執しないでいいのかなって。私は二人が赤ちゃんの時に「毎日絵本をゆっくり読んで、ゆっくりマッサージをしてあげる」みたいなことを考えたんですけど、当時は全くできなくて。今ようやく小学生の息子2人にやっているところ。2人とも「は〜いいきもち!生きててよかった〜!」なんて言って、かわいいですよ(笑)
ーかわいい(笑)
あとは、もっと周囲を頼っても良いと思います。私自身も最近になって近所の方から「もっと頼って欲しかった」「大変そうだと思って見てた」って言われたことがあって、「そうしても良かったんだ…」って実感しました。最近はなおさら、SNSで見たものをやって満足、みたいな時代じゃないですか。
ー確かに、SNSで満足しちゃってる方は多いですよね
教室を開いてて最近よく感じるんですけど、コロナ前は「頑張りすぎてる」お母さんたちが多くいらっしゃっていて、「マニュアル通りやらなきゃ」「必ず○時にこうしなきゃ」と、自分に厳しい方が多いような印象でした。でも今は「無理しなくていい」がトレンドになって、SNSで見た情報だけを鵜呑みにして間違った食生活を送っちゃう方も。もちろん、「無理しないで」という考え方を否定する訳ではないのですが、自分や家族の健康のことだけ抜いちゃいけないと思うんです。人は食べたものでできており、栄養によって穏やかな心は保たれます。これが事実です。
ー確かに、SNSで満足しちゃってる方は多いですよね
だからこそ、リアルで会って話して、生きた情報を得て、頼りにできる人を増やす。そんな機会づくりをこれからも作っていきたい。そして1人でも多くの頑張るママさんへ栄養チャージをしたい!と強く思っています。
ーありがとうございました!

Pop Spoon代表
料理研究家・栄養士 熊谷しのぶさん

Instagram:(@popspoon_atelier)
Webサイト:https://pop-spoon.com