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○○ママの好きなこと・大切なこと ママが「好き」を追う姿が、子どもの道しるべになる|フローリスト 荻野愛美さん

2025年9月30日 公開

native flower Haiji
フローリスト 荻野愛美さん

生命力を感じるネイティブフラワーと、エゾシカの角を組み合わせた唯一無二の世界観が魅力の「native flower Haiji」。代表でフローリストの荻野愛美さんは、2人の男の子を育てながら、独立から約10年のキャリアを築いてきました。好きなことを貫き通すことの大切さや、思うようにいかない事も楽しみながら向き合う子育ての姿勢について、たっぷりとお話を伺いました。

Contents

1.幼い頃から憧れた花の仕事
2.生命力ある花々に魅せられて
3.赤ちゃんを背負って市場に通った日々
4.思うよういかないからこそ、ママも自らの人生を歩んで欲しい

幼い頃から憧れた花の仕事

ーすごく素敵なお部屋...! こちらは仕事場ですか?
ありがとうございます(笑)。ここが自宅兼仕事場で、店舗を持っていないのでここで制作をしたり、ワークショップやレッスンを開催してます。

ーまずは現在のお仕事について教えてください
「ネイティブフラワー」に特化した花屋です。あらかじめ作った作品を販売する形ではなくて、お客様とじっくり打ち合わせをした上で一点一点をつくるフルオーダーメイドの形式です。お客様は一般の方から、サロンやホテル、理美容室さんが中心。あとは時々ですが、出張でのワークショップを行うこともあります。

ー独立までのお話を聞きたいと思います。小さい頃からお花が好きだったんですか?
母がお花好きだったので、小さい時からなんとなく花屋になりたいっていう気持ちを持っていましたね。経済的な理由で学校には行けなかったので、働いてお給料もらって学ぶのが一番手っ取り早いと思って、20歳の時にお花屋さんに就職しました。昔ながらの「まちのお花屋さん」って感じの所で、厳しさもありましたけど、それ以上に大きな経験をさせてもらったと思ってます。

ーその後のキャリアはどのような感じだったんですか
22歳の頃に長男を妊娠して、体力的に続けるのが難しくて退職しました。育児が落ち着いてからはまた働きたくなったんですけど、子どもが小さいとなかなか雇ってくれるところがなくて…。スーパーに入っているお花屋さんでパートとして10年ぐらい働いて、次男の出産を経て独立したのが2015年ぐらいでした。

ー独立を決めたきっかけは何だったんですか
お花屋さんって少人数なので、なかなか融通が効かなくなってしまったんですよね。でも当時は市内でお花教室を持ってたので、生徒さん達のためにもお花の仕事は続けていたくて…。当時は市場への買い付けから担当するようになっていたので、自分でもなんとかできるんじゃないかと思ったんです。

生命力ある花々に魅せられて

▲南区中ノ沢にある自宅兼アトリエ。木々の間からは時折リスも顔を見せるそうです。

ーネイティブフラワーに特化したのはなぜだったんですか
実は最初は「ハイジガーデン」という屋号で、一般的なフラワーアレンジメントをしていたんです。だけど市場に出入りしているうちにネイティブフラワーを見かけるようになって、それがすごく個性的で可愛いなって思うようになって。自分の手でアレンジしているうちにどんどん魅了されて、独立してから3年ほどで屋号を変えてネイティブフラワーに特化することにしました。

ーあまり見ないですが、どこのお花のなんでしょうか?
オーストラリアや南アフリカ等、南半球が原産の花や植物です。厳しい環境で育つからこそ生命力が強いのが特徴で、中には山火事が起きた時に種を自分の力で飛ばして、おさまった後に焼け跡から再び繁殖する…なんて品種もあるんです。その力強い存在感やストーリー性に強く心を打たれました。

ー鹿の角を使っているのも特徴ですよね
実はお花とは全く関係のないところで偶然出合いました。ペット関係のイベント会場で、鹿を利用した犬のおやつやオモチャを販売している方がいて、ブースに飾りとして鹿の角が置いてあったんです。興味本位で色々と聞いてみたら、その方が「使ってみる?」と3本ぐらい下さって。聞けば、駆除した鹿肉は食肉やペットフードとしての活用されていますが、角は活用方法が限られているそうなんですね。であれば私が有効活用したいなと思って。今は定期的に猟師さん達から買い取っています。

ー花と組み合わさると、より力強い生命力を感じますね
まるで彫刻やアートみたいな存在感がありますし、風水的にも金運が向上すると言われていますので、オフィスやお店に飾るにはピッタリなんです。道外では珍しいからか、東京の方からご注文を頂ける機会も多いんですよ。

▲鮮やかな色合いとダイナミックなデザインが目を惹きます(ご提供写真)

赤ちゃんを背負って市場に通った日々

ーここからは子育てのお話を。お子さんは結構大きいんですね
長男は25歳で、今は札幌市内で働いています。次男は12歳で小学6年生なので、年の差も大きいですね。

ー育児で苦労されたのはいつごろでしたか?
やっぱりパート時代、長男がまだ小さく身体が弱かった時期ですね。夫は多忙な仕事をしていますし、実家が少し遠くて母も病気がちだったので、身近に頼れる人がいなくて…。急な呼び出しがあるたびに職場を抜けたり、急に休んだりして、周囲に迷惑をかけている罪悪感で押しつぶされそうでした。あと仕事柄、保育園と職場の休み調整が難しかったことも苦労しました。特に年末年始の繁忙期は保育園が休みになってしまうので…。

ー確かに。どうされていたんですか?
どうしようもない時は認可外保育園の一時保育を利用しました。結構料金が高くて、日当より高いんですよね…(笑)。でもそれも仕方がない、今だけだと言い聞かせて、なんとかしのいでいました。

ーお花屋さんは朝も早いと聞いたことがあります
そうですね、市場に仕入れに行くのは朝5時や6時。子どもが赤ちゃんの頃は抱っこ紐で背負って仕入れしてました。市場の方から「そんな格好で来てる人初めて見た」って言われたのをよく覚えています(笑)。保育園にあがってからも、まだ寝ている子どもを毛布にくるんで助手席に乗せて仕入れに向かい、終わったらその足で保育園へ…という生活でした。

▲鹿の角を大胆に取り入れた荻野さんの作品(ご提供写真)

思うよういかないからこそ、ママも自らの人生を歩んで欲しい

ー独立されてから子育てとの両立は変わりましたか?
時間の融通は本当に効くようになりましたね。何より子どもが病気した時にそばにいられるので、精神的な苦痛がなくなったのが一番大きいです。はじめは不安でしたけど、一歩踏み出して良かったな、って今では思います。

ーご長男はもう社会人ですが、どんなお仕事を?
去年東京から札幌に帰ってきて、今はフリーで色々やってるみたいです。私自身「好きなことをやっている背中を見せよう」と思い育ててきたので、同じ方向に進んだのかもしれませんね。イベントの時は搬入搬出を手伝ってくれるので、すごく頼りがいがあり助かってます。

ー子育てでポリシーにしてきたことはありますか?
あんまり細かくあれこれ言わないことですかね。ごく当たり前に、人様の迷惑にならなければいいし、警察に捕まらなければいいし、嘘を付かずに健康でいてくれたらいい。子どもは親の思うように育たないのが当たり前なので。

ーそうですよね
以前、長男が東京にいた時に全く連絡がつかなくなったことがあって。メッセージも既読にならない、電話も出ない。それで事件に巻き込まれたんじゃないかと心配になって、警察に電話して部屋を捜索してもらったことがあったんです。結局、フラフラしてただけで無事だったんですけど(笑)。

ーそれは心配しますよ(笑)
その出来事から気持ちが吹っ切れて、例えどこにいても、健康で楽しく暮らしてくれたらいいなって思うようになりました。今は自分の好きな道で仕事をバリバリ楽しくやってるようで、遠目から温かく見守っています。

ー先輩ママとしてメッセージを!
あんまり細かいことで思い悩まなくていいと思います。レッスンの時にお子さんがいる方からよくご相談を受けるんですけど、個性が強いことや適応が苦手なことに関して、ネガティブになりすぎてる気がして。親がどれだけ心配しても子どもは子どもの、自分の人生を歩んでやがて一人立ちしていきます。自分の好きな道を歩んでくれたら、それで充分ではないでしょうか。そのためには、ママ自身が好きな人生を歩んで、笑顔でいることが大切だと思います。

ーありがとうございました!

native flower Haiji
フローリスト 荻野愛美さん