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○○ママの好きなこと・大切なこと 着物の良さを伝えたい!コロナ禍の育児を乗り越えた着物好きママ

2024年10月11日 公開 / 2024年10月22日 更新

着物コンサルティングアドバイザー 柘植 千夏さん

今回お話を伺ったのは、札幌で4歳の長女、2歳の長男を育てながら、着物コンサルティングアドバイザーとして活動する柘植千夏(つげちなつ)さん(@chiiikimono)。着物に魅了されたきっかけや、コロナ禍での育児、現在の活動とこれからについてインタビューしました。

Contents

1.フリーターから一転、着物のプロへ!
2.孤独に思い悩んだコロナ禍での育児。
3.保育園に預けるため、起業を決意!
4.着物文化を広め、職人さんたちの助けになりたい。

フリーターから一転、着物のプロへ!


ー現在どんなご活動をされていますか?

着付けレッスンや着付け込みのレンタル、購入の際にアドバイザーとして同行するサービスを中心に活動しています。また最近ではロケーションフォトや七五三の機会に着付けをするサービスもしていますよ。フォトスタジオよりも時間にゆとりがあり、幅広い着物を借りられるのがメリットです。
着付けだけでなく、レンタルもされているんですね
着物は2、30万円もする高額なものも多いですが、皆さんにはもっと気軽に楽しんでもらえるように、着付け込みのレンタルを2万2千円から提供しています。
着物と出合ったのはいつ頃ですか?
20歳の頃に呉服屋さんに就職したのがきっかけです。実は高校を出てしばらくは夢や将来像が描けなくて、フリーターをしていました。自分にしかできない仕事は何だろう...と悩みながら転職活動をしていた時、「これだ!」と直感的に惹かれたのが大手呉服店の仕事でした。
ー実際に働いていかがでしたか?
着物の奥深い世界にすぐに夢中になりました。職場の研修だけでは時間が足りなくなってしまって、休みの日にも着物の産地を訪れたり、他の呉服屋さんに足を運んだり。同僚たちを前に勝手な研修会も開いてました(笑)
ー産地まで足を運ぶのはなかなかですね(笑)
久留米、博多、京都あたりに行きました。着物って産地ごとに凄く個性があるんですよ。例えば、新潟では雪の上で生地を干す工程がありますし、九州では火山灰を使って染める手法があります。地域ごとのこだわりや特色があって、そうして織られた着物は土地の気候に合ったつくりをしているんです。職人さんから直接、文化や製法を知ることで、商品の本当の価値をきちんと説明できるようになりました。
ーそれだけお詳しい方ならお客様もついてきてくれそうですね
ありがたいことに売上はいつも上位を記録していました。でも、それ以上に私の話が面白いと足を運んでくださる方がいて、単なる店員とお客ではない信頼関係を構築できたのが嬉しかったです。

▲着付けをする柘植さん(ご提供写真)

孤独に思い悩んだコロナ禍での育児。


ーその後、結婚を機に一度仕事を離れられたとか

4年間の勤務を経て、24歳の頃に結婚・妊娠を機に辞めることにしました。私の勤めていた呉服屋さんはかなり体力を使う職場で、妊婦にはちょっと厳しくて。それに将来は「売る」のではなく、もっと手軽に魅力を広める活動をしてみたいと思ったんです。働いていた4年間で30着ほど着物も買っていたので、レンタルのサービスも構想していました。
ー長女のご出産時は、ちょうどコロナ禍でしたよね?
そうなんです。妊娠3ヶ月目がちょうど、世間がざわつき始めた時期でした。妊娠・出産は本当に大変で...。妊娠中は買い物もできないですし、出産時もマスク着用、夫も立会いができず、看護師さんも感染予防のために別室にいる状況でした。産後の入院中もほとんど1人で、それまでドラマや映画で見て憧れていた出産のシーンとのギャップが悲しかったです。
ー出産後も大変そうですね...
ガーゼも売っていないですし、子ども服も買えないですし、子育てサロンもやっていません。ただでさえ初めての育児で分からないことだらけなのに、人と会うことも禁止されていたので、とにかく孤独で...。明るい性格の私ですが、このままだと鬱になるかも...と思うことすらありました。
ーその苦労をどう乗り越えたんですか?
「みんな同じだ」「苦しいのは自分だけじゃない」と思うようにしました。幸い、実家の母や姉の助けもあり、なんとか乗り越えることができました。またその間にベビーマッサージの資格など新しい勉強もしてリフレッシュしました。

保育園に預けるため、起業を決意!

ー着物のお仕事は起業もされているとか
起業をしたほうが保育園に預けやすいことが分かって、長女が1歳半の頃に立ち上げたんです。その後長男の出産、育児を経て、現在は2人とも保育園に預けながら、着物コンシェルジュとして活動しています。なので活動が本格化してきたのは、ここ1年ほどですね。
ー子どもを預けるようになってから、ご心境は変わりましたか?
やはり心にゆとりができたお陰で、子どもを「可愛い!」と思える瞬間が増えました。もちろん預けなくても可愛いんですけど、ずーっと向き合っていると責任感で余裕が無くなっちゃいますからね。
ーつい「自分で面倒を見なきゃ」って思っちゃいますもんね
人に預けるのは迷惑をかけることだと思い込んでました。でも、実際は迷惑だと思われていなかったですし、保育園はそのための存在ですからね(笑)。ママが好きな活動や仕事をしているほうが、心にゆとりも生まれると思います。

着物文化を広め、職人さんたちの助けになりたい。


ーところで、普段から着物で生活をされているんですか?

そうです!この姿でどこでも行きます。汚さないように気を遣いはしますが、意外と困る事はありません。焼肉も、歯医者も、病院も、それから海外も行ったこともあるんですよ。
ー海外まで!
昔、フランスのルーブル美術館に行った時は、海外のみなさんに注目されて目立ってしまった経験もあります(笑)。着物の産地巡りはまだまだ途中ですので、いずれ再開して全ての産地を巡るのが夢です!

▲(ご提供写真)


ー素敵な夢ですね。お仕事の上での今後の目標は何ですか?

着物のことを自分の目線で、きちんと伝えること。着物業界は不明瞭なことが多く、中には不信感を抱いている方もいます。例えば呉服屋で販売されている高額な着物と、ネットで格安で借りられる着物は何が違うのか。本質をきちんとを伝えられると、本物の良さを感じてもらえるはずです。
ー確かに、そこもハードルが高いですもんね
良い着物は母から子、孫と代々引き継がれていくものです。着物文化を広めることで、少しでも着物職人さん達の支えになれたらいいなと思います。また、着物は準備から片付けまで本当に手間がかかり、面倒で大変ですよね。だからこそ、ママには手ぶらで負担なく着物を着られるようにして、素敵な1日を送りたい方のお力になれればと考えています。

ーありがとうございました!

着物コンサルティングアドバイザー
柘植 千夏さん

Instagram:@chiiikimono