しゅふきたアプリアイコン

主婦(夫)の働くをもっと応援

しゅふきたアプリ

しゅふきたは主婦の「働く」を応援する北海道の求人情報サイト

設定

○○ママの好きなこと・大切なこと 出産後の「もやもや期」を経て気付いた、自分の人生の楽しみ方|料理研究家 佐々木百合さん

2026年6月19日 公開

「〜季を紡ぐ食卓〜 ITOSHIKI Table」
代表・料理研究家 佐々木百合さん

5歳女の子と2歳男の子を育てながら、料理教室やレシピ開発など幅広く活動している「ITOSHIKI Table」代表で、料理研究家の佐々木百合さん。29歳で独立後、コロナ禍での育児や転居が重なり、一度は仕事をストップしながらも、2024年に念願の自宅スタジオを開設しました。和食の素晴らしさを「もっと手軽に、もっとオシャレに」届けることをテーマに活動する百合さんに、これまでの歩みやお仕事、子育てへの想いについてじっくりとお話を伺いました。

Contents

1. 「食べる専門」から料理研究家の道へ!
2.はじめての挫折を味わった「もやもや期」
3. 育児を経験して、さらにレベルアップしたレシピ。
4. 「子育ても一度きりだけど、ママの人生も一度きり」

「食べる専門」から料理研究家の道へ!

ーすごく素敵なご自宅!ここが教室にもなってるんですね
ありがとうございます。生徒さんたちが心地良いように、また子どもの様子もキッチンから見えるように、ハウスメーカーさんとこだわって設計しました。任せてくれた主人にも感謝しています。自宅の他にも、住宅メーカーの展示場や、キッチンメーカーのショールームでイベントレッスン、企業とのレシピ開発のお仕事もしています。

ーじゃあ、そんな佐々木さんが料理研究家になるまでを教えてください。子どものころからお料理が好きだったんですか?
いいえ、実は10代までは「食べる専門」で、自分で作るよりも母の料理を食べる方が好きでした。料理自体に興味を持ったのは就職がきっかけです。素敵な先輩達に憧れて料理教室に入社しまして…とはいえ恥ずかしい話、パスタを水から茹でて先輩に注意される、みたいなスタートでした(笑)

ー意外!
本当に、そんな素人をよく採用してくださった…って思います(笑)。でも、そこで働く先輩達がみなさん、キラキラされていて、背中を追っているうちに、いつしか私も夢中で勉強するようになっていったんです。

ーどんなお料理を?
和洋中からはじまって、エスニック、パン・お菓子まで、教室で教える全ジャンルを経験しました。7年間で5000人以上の方とレッスンをさせていただきまして、店舗統括責任者として札幌の2店舗をマネジメントする機会もいただいて。あとは、和食の魅力に気付いたのもこの時でしたね。

ーなぜですか?
駅直結のスタジオ勤務だったこともあり、通りがかりの海外の方から「日本の家庭料理が学びたい」とお声がけいただくことも多かったです。2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたという出来事がありましたけど、和食が世界中で注目されているのを、ひしひしと感じて。私自身も改めて独自の魅力があることを再認識しまして、この素晴らしい文化をもっと広めたいと思ったんです。

ーそれで独立されたんですね
あとは29歳という年齢で、将来に向けた新しいチャレンジをしたい気持ちも芽生えて。当時はまだ独身でしたが、この先子育てと両立しながらキャリアを築くにはどうしたらいいか…その結果が、会社員を辞めて自分で起業する道だったんです。

はじめての挫折を味わった「もやもや期」

▲子ども向けお料理教室も主催しています(ご提供写真)

ー独立後はいかがでしたか?
2018年からの2年間は本当に、24時間仕事していた感じで。テレビ出演のご相談を頂いたり、料理教室のポータルサイトが運営するアワードで受賞したりと、軌道に乗り始めたタイミングでした。でも2020年1月に結婚をしてすぐに夫の転勤が決まり、本州に引っ越すことになったのですが…

ーしかも、コロナもありましたよね
そうなんです。引っ越し3日後に妊娠が発覚したと思いきや、今度はコロナで身動きが取れなくなってしまいました。それでも引っ越し前に札幌にスタジオ用の物件を借りていたので、札幌と行き来して教室を続けるつもりだったんですけど、つわりも辛かったですし、料理教室自体がコロナで難しくて続けられないと判断して。ですので、2020年から2022年の2年間は仕事を完全にストップして育児に専念しました。

ーそれはもどかしい日々でしたね…
北海道を出たのが初めてですから、知り合いもほぼゼロで、出産前のセミナーや集まりもコロナ禍で全て中止でしたからね。でも子どもは本当に可愛くて、母親としては充実していたんですけど…。母親として以外での自分の存在価値を感じられなくなり、生徒様たちにも迷惑をかけてしまった罪悪感から料理教室をやっていた頃の写真を見るのも辛かったです。

ーそれまで順調だったから尚更ですよね
気付いたら「自分が何を好きか」もわからなくなっちゃったんですよね。ふと自分の時間ができた時に、着たい服も、やりたいことも見つからない…。この2年間は私の中では「もやもや期」と呼んでいます。

ーその状態から、もう一度仕事を再開しようと思えたのはいつごろですか?
2022年に札幌に戻ってきたタイミングで、あるテレビ局の番組担当の方から出演のお声がけをいただいて。それと、ずっとつながっていてくれた生徒さんから「もうやらないの?」というメッセージもいくつか頂いたんです。SNSでの発信もほとんどしていなかったのに、「あの時のレシピ、今でも作ってますよ」とか「また教えてほしいです」というDMが届いて。「一人でも誰かの役に立てるなら、もう一回頑張ってみよう」と決意しました。

育児を経験して、さらにレベルアップしたレシピ。

ー育児を経て、料理の伝え方に変化はありましたか?
「和食を手軽でカジュアル、ちょっとオシャレに届ける」という根っこは変わっていないんですけど、より「簡単に」という方向にシフトしました。以前は鰹と昆布の「合わせだし」を取るところから教えていたのが、手軽に作れる水だしでもこんなに美味しくできるよ、という形にしたり。

ー今は和食中心に教えているとか
日本人は鎌倉時代から700年もの時間をかけて、だしの研究をしてきたと言われています。長時間徹底的に煮込んでみたり、水出ししてみたり。こうして引き継がれた文化は、世界に誇れるものだと思っております。とはいえ、現代人が毎日イチからだしを取るのはなかなか難しいと思いますので、手軽に、そして身体にやさしい形で現代でも楽しめる和食のアイデアをお伝えしているんです。あとは子育て中の忙しい方も来やすいよう、単発やリクエスト開講・土曜開講・1時間コースなど、すきま時間に楽しめるよう工夫しています。

ーママは忙しいですもんね
そうですね。あ、それから「見た目」もですね。和食って茶色くなりがちですから、見た目も楽しく、季節感が感じられる盛り付けを意識しています。桜の時期なら桜モチーフのあしらいを添えるとか。ちょっとした工夫で食卓での会話も生まれるし、作る人も食べる人もときめきますよね。

ーこれまでで印象深い生徒さんは?
働きながらお子さんの毎日のお弁当を2つ作るというお母さんが、月に1回通ってくれているんですけど、ある時「心の支えです」と言ってくださったことがありました。日々追われていると料理が義務的なことになってしまって、「ここに来たおかげで料理が好きだったんだって思い出しました」「器を選ぶのも盛り付けも、こんなに楽しいなんて」と言ってくださって。私自身もすごく元気をもらっています。

▲企業向け料理イベントでの佐々木さん(ご提供写真)

「子育ても一度きりだけど、ママの人生も一度きり」

▲和食の魅力を語る佐々木さん。「食べられない笹の葉や南天の葉を添えて目でも楽しむという感覚って、海外の方には不思議らしいんです。でもそれがすごく日本らしくて、大切に伝えていきたい文化だなと思っています」

ーご自身のお子さんについても教えてください
2人とも本当に可愛いです。5歳の長女は「人生何回目かな」という大人っぽい子で、夫が何かしてくれた時も「うちのパパは本当にできるパパだわ〜」って、パパのモチベーション管理が完璧(笑)。2歳の長男は自分の意思がはっきりしていて、晴れの日でも毎日長靴を履いたり、気になることはとことん研究して保育園では博士と呼ばれたりしています(笑)。それぞれの個性にいつも驚かされる毎日ですね。

ー先輩ママとして、読者にメッセージをお願いします
自分の人生を大切に。ママが笑顔になれば家族が笑顔になるとよく言いますけど、本当にその通りだと思うんです。お母さんが自分の人生を楽しんでいる姿を見て、子どもは「大人ってなんか楽しそう」「自分もこんなことしたい」って考えるのではないでしょうか。

ー佐々木さんはお仕事を本当に楽しんでいるご様子ですもんね
長女がよく「お仕事頑張ってくれてありがとう」とお手紙をくれるんですけど、私自身は家族やお金のためだけに働く、という意識はしっくり来なくて。お料理で誰かの役に立ちたい。誰かの役に立って、その対価としてお金を頂いて、そのお金で生活ができる、という笑顔の連鎖にいるような感覚なんです。

ーお仕事というより、人生なんですね
子育ても一生に一度きりですが、自分の人生も一生に一回きり。お母さんになっても、自分の人生をしっかり楽しんで働いて、暮らしていく。そんな充実したものであるといいなと思います。

▲取材時には米粉のマドレーヌをご馳走してくれたました。「米粉はふるわなくていいし、生地を寝かせる必要がありません。『作りやすさ』という面でも子育て世代にすごくオススメなんです」

「〜季を紡ぐ食卓〜 ITOSHIKI Table」
代表・料理研究家 佐々木百合さん

Instagram:@itoshiki_yuri
Webサイト(教室のお申し込みはコチラ):https://www.itoshiki-table.com/